2017年1月2日月曜日

2016年に見た映画

学生時代に映画館通いを続けて映画を見まくっていたのが、社会人となり徐々に映画館から足が遠ざかって、長らく映画を見なくなっていた。最近、新作を含む映画が通販レンタルで簡単に視聴出来ることに気づき、去年、未視聴で面白そうなものを片っ端から選んで50本近く見た。その中で実際に面白かったものをリストアップしてみた。

・シュガーマン 奇跡に愛された男(2012)
・ローンサバイバー(2013
・スティーブ・ジョブス(2013
・ババドック ~暗闇の魔物~(2014
・ミュンヘン(2005
・クラッシュ(2005
・ネブラスカ(2013
・バベル(2006
・ファーゴ(1996
・小さいおうち(2013
・イミテーションゲーム(2014
・第9地区(2009
・ノーカントリー(2007
・セッション(2015
・ミリオンダラー・アーム(2014
・デルス・ウザーラ(1975
(カッコ内は制作年、順番は自分が見た順)

 「シュガーマン」は、1970年代に二枚だけアルバムを出して消えた米国人歌手ロドリゲスの半生を追った音楽ドキュメンタリー。彼の歌は、本人も知らないうちに南アフリカで反アパルトヘイトの象徴として爆発的なヒットとなっていた。「ローンサバイバー」は、アフガニスタンで対テロの戦闘に参加したアメリカ兵20名の内19名が死亡した悲劇的な作戦で、唯一生還した兵士の手記をもとにした戦争アクション。二番目は、アップル創業者スティーブ・ジョブスの伝記映画。ジョブス関連の映画は、1995年のインタビューをもとにしたドキュメンタリーや最近作られた伝説的なプレゼンの舞台裏を描いた同名の映画があるが、本作は、彼の後半生がわかりやすく描かれている。
 「ババドック」は、未婚の母親が経済的苦境に陥り、精神を病んでいくサイコホラー。一見、現実離れした映像とストーリーだが、実際は自分も含めて誰にでも起こりうる物語。「ミュンヘン」は、1972年のミュンヘン・オリンピックで起きたパレスチナ・ゲリラによるイスラエル選手殺害事件とその後のイスラエル暗殺部隊による報復の過程をリアルに描いたサスペンス。「クラッシュ」は、ロサンジェルスを舞台に多民族国家であるアメリカで暮らす人々を取り巻く差別と偏見、憎悪、繋がりを描く群像劇。序盤で悪人(善人)と描かれたいた人物像が終盤で逆転していくストーリーがダイナミックで印象的。
 「ネブラスカ」は、小津安二郎ファンのアメリカ人監督が描く、都会に住んでいた中年の息子と年老いた父が故郷を訪れるロードムービー。旅の途中で再会する親戚や昔の知り合いとのズレたやりとりがたまらなく可笑しい。「バベル」は、人間同士のコミュニケーションの困難と希望を描く。「クラッシュ」と似た群像劇。「ファーゴ」は、アメリカ北中部の町を舞台にした狂言誘拐をめぐる人間模様を描いたサスペンスコメディー。ストーリーだけ聞くと殺伐とした話だが、主人公の女性警察官役(ジョエル・コーエン監督の奥さん)がユーモラスで秀逸。連ドラ「あまちゃん」の劇中劇で薬師丸ひろ子が演じたおめでた弁護士の元ネタ?
 「小さいおうち」は、中島京子による昭和初期の東京を舞台にした家族小説を山田洋次が監督した日本映画。深刻化しつつある世相の中、お手伝い(黒木華)と女主人(松たか子)の心理的葛藤がミステリアス。「イミテーションゲーム」は、第二次世界大戦を時代背景とした、天才数学者アラン・チューリングとナチスの暗号機エニグマの解読をめぐるサスペンスドラマ。現代型コンピューターの発明者とされるチューリングの数奇で悲劇的な人生が描かれる中で、変人の主人公と彼をサポートする女性数学者との友情が美しい。「第9地区」は、地球に難民としてやってきたエイリアンと、それを抑圧する人類の対立を描いたSFコメディー。映画の舞台にもなっている南アフリカのアパルトヘイト政策が物語に反映されている。現代の難民問題や民族差別にも通じる寓話的作品。
 「ノーカントリー」は、「ファーゴ」と同じコーエン兄弟による暴力サスペンス。殺伐としか言いようのない物語だが、犯罪がらみの大金を持ち逃げしようとする主人公の等身大リアリティーとそれを追う殺し屋役のハビエル・バルデムの怪優ぶりが圧巻。「セッション」は、鬼バンドマスターのもと、一流のジャズドラマーを目指す若者の心理的葛藤と成長をドキュメンタリータッチで描く音楽ドラマ。バンマスの偏執狂的指導と、もしかしたら善人かもと思わせる不可解な性格がミステリアス。「ミリオンダラー・アーム」は、アメリカの落ちぶれかけたスポーツエージェントが、起死回生をかけてクリケットが盛んなインドで野球選手をスカウトして、インド人の若者をメジャーリーガーにしようとした実話をもとにしたスポコンドラマ。拝金主義の主人公が文化の違う若者と交流するうちに代理人ビジネスマンとしての自覚に目覚めていく。「デルス・ウザーラ」は、黒澤明監督によるソ連映画。20世紀初頭、日本の北方領土に近いシベリア東部を舞台に、裕福なロシア人探検家と天涯孤独な先住民猟師デルス・ウザーラとの交流を描く。シベリアの寒々しく雄大な風景とデルスのサバイバル術が印象的。
 現実世界の投影か、はたまたその逆か、最近のアメリカ映画の暴力描写には辟易。それでもリストの中で特に面白かったのは「イミテーションゲーム」と米国映画5本、「クラッシュ」、「ネブラスカ」、「ファーゴ」、「ノーカントリー」、「セッション」。

 

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