2018年5月19日土曜日

高岡のアシカ3




前回の続きです。 
 2009年に Nature誌に発表されたプイジラ化石発見の論文には上のような系統樹が描かれています。1983年のScience誌のものに比べて分かりにくいですが、Y軸上に縦に書いてあるのは、Arctoidea(クマ下目)、Ursidea(クマ科)、 Pinnipedia(鰭脚類)、Mustelidae(イタチ科)です。鰭脚類のところにエナリアークトス、プイジラに並んでもう一種類の陸生鰭脚類祖先のポタモテリウムが記載されています。ポタモテリウムは、2400〜1100万年の欧州の地層から化石が見つかっており、プイジラ同様カワウソ似の鰭脚類です。一方現生のカワウソは、Lontraとして鰭脚類とは少し離れた場所に記載されていて、プイジラやポタモテリウムが現生のカワウソに似ているのは、別系統の生物がたまたま同じような環境適応を行った収斂進化のように見えます。
























 一方上の系統樹は、2008年の鰭脚類進化の総説論文からとってきたもので、縦軸のCaniformiaはイヌ亜目、一番上のCandaeはイヌ科(現生のイヌはもちろんキツネやタヌキを含みます)、Ailurusはレッサーパンダ、Mephitidaeはスカンク、Procyonidaeはアライグマ、Martesはテンです。この図を見ると、鰭脚類が犬の祖先から出発し、イタチ科ととともにクマの系統から分かれて進化してきたことが分かります。この図では、現生のカワウソがLutrinaeとして一番下に記載されています。この系統樹に従えば、プイジラは、鰭脚類とイタチ類の共通祖先であり、2000万年以上、水陸両用のカワウソ型形態を変えることなく、イタチやレッサーパンダ、アライグマなど完全陸生の動物たちの祖先となってきたことになりますが、、、そんなコトあるでしょうか?

この項続く





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