2019年3月23日土曜日

ライオン



前回ご紹介したマンチェスター・バイ・ザ・シーと同じ2016年(日本では2017年)公開の映画。インド出身のオーストラリア人男性が書いたノンフィクション本『25年目の「ただいま」 5歳で迷子になった僕と家族の物語』を原作とする。
 主人公のサルーはインド北中部の街で貧しい母子家庭で育った。家族には母の他に仲の良い兄と妹がいる。5歳になったとき、ひょんなことから迷子になり、故郷の街から15000キロ離れたインド北西部の大都市カルカッタに運ばれてしまう。ここで厳しい孤児生活を送るはめになり、人身売買の手にかかりそうになる。このへんのくだりは、2008年のイギリス映画スラムドッグ$ミリオネア』を想起させます。




カルカッタで公立の孤児院に入るが、運良くオーストラリアの慈善家夫婦の養子になり、養父母のもとで西洋式の教育を受け成人します。大学ではビジネスを学び、美しい恋人もできて、一旦は幸せな人生が約束されたように見えます。しかし、まだ故郷には年老いた母と兄弟が生きているはずで、次第に子供の頃の記憶に苛まれるようになります。しまいには、精神を病んでせっかく入った会社を辞めてしまいます。問題を解決出来る鍵は、子供の頃の儚い記憶とグーグルアースを使った地形や街並みの探索だけです。
 自分も昔の旅行先の風景などが気になって、グーグルアースのストリートビューに耽溺してしまうことがあるので、主人公の気持ちは痛いほどわかります。養母役のニコール・キッドマン以外はすべて無名俳優か素人が演じている。監督もこれが第一作だそうです。最後に映画のタイトルの意味が明かされ、エンドロールの背景にびっくりするようなシーンが出てくるので、最後まで目が離せません。


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